業務用チョコレート生産量世界第3位※の不二製油。※2023年自社調べ
そこで働いている研究者はきっと日夜チョコレート漬けの甘い日々を
送っているに違いない!謎のベールに包まれた開発者の研究生活を
不二製油 チョコレート開発室の渡邉さんと川島さんに聞いてきました。
インタビュアー:ソヤファームクラブ 程
用途は多種多様 チョコレートの世界へようこそ
程:いきなりですが、不二製油のチョコレートってどこに使われていること
が多いのですか?業務用第三位、と言われてもピンとこないです。
渡邉さん:まず業務用とは、パンやお菓子など、メーカーのお客様が販売す
る商品の原材料として使われるチョコレートのことです。この販売量が不二
製油は世界第三位で、多くのプロのお客様の様々な製品に使用されていま
す。そして不二製油の最大の強みは植物性油脂を70年以上研究してきたこと
による油脂に関するノウハウ・技術力があること。だからチョコレート本来
のシンプルな配合で作られる風味高いクーベルチュールから健康チョコレー
ト、パン用・アイス用など幅広い用途に応じた機能性とおいしさを兼ね備え
たチョコレートを開発・生産・販売できるのです。
川島さん:アイス用のチョコを例に出すと、通常のチョコレートが溶ける温
度は人の体温に近い34℃くらい。マイナス20℃前後に冷凍されたアイスを口
にすると口内が冷え、通常のチョコレートはなかなか融けず、ゴムみたいな
食感になります。そこで不二製油の油脂技術によりアイスコーティング用の
チョコは融ける温度を低く設定し、冷えた口の中でもコーティングが融ける
ような設計を実現しています。
他にもコーンに乗ったアイス。出来立てはアイスクリームのやわらかさとコ
ーンのパリパリ感の組み合わせが絶妙ですが、冷凍庫で保管するとパリパリ
感がなくなり、食べる時にはコーンが柔らかくなってしまいます。大量に売
りたいメーカーのお客様はこれでは困ります。だから不二製油のアイスコー
ティングをコーンやモナカに噴霧することでチョコレート中の油脂分がアイ
スクリームからコーンへの水分移行を抑制し、パリパリ食感を持続させま
す。コーンだけでなく、クッキー生地やワッフル生地などのサクサク食感の
持続にも効果があります。チョコレートそのものの食感だけでなく、合わせ
る素材の良さを引き立てるのです。
渡邉さん:アイスからは外れますが、とろっとした感じのチョコが挟まれたクロワッサンを食べたことありますか?それも不二製油の製品特徴が活かされてます。普通のチョコだと熱を加えると溶けて流れ出してしまったり、焦げて固まったりしてしまいますが、冷めてもとろっとしたチョコの食感と美味しさを持続できるのは植物性油脂の力を活用しているからです。しかも水分量が非常に少ないからチョコの風味が強調されるので、開発の力の見せどころでもあります笑
程:あぁ~、聞いてるだけで美味しそう!食べたくなります。
チョコも作るけど、アイス、パンも!?
程:普段どんなお仕事されているのですか?
渡邉:入社以来、チョコレート開発一筋8年目です。
仕事内容としては先行技術の調査、配合検討、試作が大部分を占めていま
す。最近はメーカーのお客様ごとの特注品の対応が多いです。具体的にお
客様がどんな商品にどんなチョコレートを合わせたいのかを詳しくヒアリ
ングし、最適なチョコレートを提供する、という内容が多いです。
実際に最近僕が手掛けたチョコレートは、大手パンメーカーさんのロール
パンにかかっているコーティングチョコや、メロンパンに入っているチッ
プチョコ、さらにクロワッサンやデニッシュに入っているスティックチョコ
など菓子パンに多く採用されています。自分が携わった商品が、実際にコン
ビニやスーパーで購入されるのを見た時や、ネットやSNSで「美味しい」
と言ってもらえているのを見た時は、この仕事のやりがいを強く感じます。
程:すごいですね。数多くの商品をお客様と一緒に作り上げてきた渡邉さん
にとって仕事をしていく上で、難しいと思うことは何ですか?
渡邉:メーカーのお客様の要望に的確に応えていくところでしょうか。お客
様のイメージとなる味を具体化するために、原料のベースとなるカカオや砂
糖が無数にある中で比率を変えて検討しつつ、口溶けによっても味の出方が
変わってくるから難しいと考えています。
川島さん:具体的に言うと、僕たちはチョコレートばかり作って提案して
いると思われがちですが、実はチョコレートだけを作って紹介することっ
て少ないですよね。先ほどのパンの話もそうですが、パンの上にかける
チョコレートを要望されているなら、パンを作って、実際にチョコレート
をかけたときの味の出方だったり、物性、現場の使い勝手を考えたりしま
す。起点がチョコではなく合わせるもの、ある時はパンだったり、クッキー
だったり、アイスだったり、設計思想が違うんですよね。
最終商品を作ることをイメージしながら試行錯誤しているので、実はチョ
コより合わせるクッキーやアイスの方が多く食べているかもしれません。
渡邉さん:そうそう、経験が活かされるな、と感じています。だからチョ
コ以外にも美味しいものを食べて味の出方、食経験を増やすことで引出を
増やして多面的に考えるようにしています。面白そうなお菓子が新発売さ
れていたら買ってみる、飲食店で面白そうなメニューがあったら頼んでみ
る、といったことを意識して過ごしています。その時に感じた食感や味わ
いが何によってもたらされているのかを考えながら食べることで、自分が
商品を設計する時にもより深く考えて取り組むことができるようになると
考えています。その場で正解にたどり着けなくても、今後の食品づくりに
おいてプラスに働くと思いますし、とても楽しく経験を蓄積することがで
きます。
実際に、要望に沿った味を作るために行った香りづけや隠し味がお客様に
認められたことがあり、意識していてよかったなと思いました。
程:チョコ作りのために毎日の食生活を豊かにして、開発時もチョコだけ
でなく合わせる相手も含めて作る…なるほど日夜研究されていると
いう訳ですね!
美味しいだけじゃない、健康のためにもチョコレート
程:渡邉さんは入社時からチョコ開発希望だったのですか?渡邉さん:実は入社前はチョコレート希望ではなく、不二製油もう一つの
強みである大豆加工素材に興味を持っていました。配属でチョコになり、
それから愛着が湧いて、ずぶずぶチョコレートの沼に笑
とは言え、やはり不二製油の強みであるチョコと大豆を活かした製品を開
発したい、という想いはありました。
程:それがソヤファームクラブで販売しているヘルシーカカオ ハイプロテ
インの開発に繋がった、と。
渡邉さん:そうです!
程:この話は次のコラムにさせてください笑
程:では最後に、これからどんなチョコレートを作っていきたいか、うか
がえますか?
渡邉さん:カカオポリフェノールをはじめとして、健康を謳う製品がたくさ
んありますが、その効果だけではなく、それらを美味しく食べることができ
るような製品をもっともっと広げていきたいですね。
川島さん:チョコレートは好きなお菓子のランキングの常に上位というくら
い人気商品。美味しいだけでなく、食べると幸せな気分になる。だから体に
いいだけでなく、メンタル面も含めて幸せを提供できるようなチョコレート
を増やしたい。そしてチョコレートの良さってカロリーが足りない人にこ
そ広めていきたいですよね。今後の日本は超高齢社会。食欲がわかない時、
食べられない時にこそチョコレート食べて元気になっていってほしいです。
食べやすくて、美味しくて、持ち運びしやすくて、保存性に優れるチョコレ
ートは非常にポイントが高いと考えてます。
渡邉さん:飲み込む力が落ちてきた人にもおススメです。噛まなくてもゆっ
くりと味わうだけで溶けてくれるので誤嚥のリスクも低く、何よりおいしく
食べたい、という方に安心して食べられます。我々のミッションに「食の歓
びと健康に貢献する」という一文があるのですが、まさにチョコレートはそ
れを体現してますよね。誰が食べてもおいしいし、たん白もカロリーも摂れ
る。チョコを通じて世界を幸せにしていると思うと、開発に力が入ります!
程:チョコの世界は明るく美味しい未来に通じてますね!!今日はありが
とうございました。
まとめ
おいしいチョコは1日にしてならず!改めてチョコは色んな商品に使われているし、不二製油のチョコ製品があちこちの商品に入っているのだろ
うな、と知ることが出来ました。
皆さんの日頃食べているお菓子やパンにも実は…?
楽しみながら味わってみるのもいいかもしれませんね。